アクアポニックスでは様々な種の魚を利用して野菜の栽培ができます。なかには自分の育てたい魚が既に決まっており、その魚で野菜を育てようとされる方もいますが、アクアポニックスを実践する目的や環境によっては失敗してしまう可能性が高くなります。今回はアクアポニックスを成功させるために重要な要素である魚選びのときに考慮すべき点について紹介していきます。
アクアポニックスで魚を選ぶときに考慮したいこと
魚の飼育目的
アクアポニックスでは植物だけでなく魚も収穫対象とされることが多いですが、それだけではなく次のような飼育目的も候補としてあげられます。
- 食用魚として生産
- 自身の観賞魚として飼育
- 野菜を育てるためだけの飼育
- 釣り堀などレクリエーション用として
- 食用または観賞魚の稚魚生産
魚を育てる目的は設備の構成に影響を与えます。例えば観賞を目的として魚を育てたいのであれば、水槽はガラスなど透明な容器が好まれます。しかし商業規模の水槽では観賞魚との相性が悪いです。
魚に適した水温
魚は種類によって冷たい水を好む魚や温水を好む魚、冷水から温水まで生息できる魚がいます。魚に適した環境での飼育が必要となりますが、アクアポニックスの場合、設置環境によって水温は大きく変わります。直射日光が当たりやすい環境では水温は高くなりやすく、室内など太陽光が届きにくい環境では室温に水温は近づきます。日本の場合、四季によっても影響を受けます。夏場は30℃を超えるような気温になる一方で、冬には0℃以下になる場所も多いです。
つまり環境から受ける影響を考慮して、冷水を好む魚を飼育する場合には、夏場の気温と共に上昇する水温を下げる対策、逆に温水を好む魚を飼育する場合には冬に水温が下がらないような対策が求められます。
魚の気質
アクアポニックスは育てたい野菜の量によって魚を飼育する量を調整するため、基本的に魚は多頭飼いが前提となります。商業農場では単一の魚の飼育が多いですが、趣味レベルだと複数種類の魚を混泳させる場合もあります。単一の魚を飼育する場合も混泳させる場合にも注意したいのは魚の気質です。例えば闘魚ともいわれるベタは、他の魚とは一緒に飼育が難しいです。アクアポニックスによく利用されるティラピアも飼育数が少ないとオス同士の争いが絶えません。魚を選ぶ際にはその魚の気質をよく理解しておくことが大切です。
魚の丈夫さ
魚の種類によっては水質の変化に強いものもいれば、逆に弱い魚もいます。コイやティラピアは水質の変化や高い硝酸濃度にも耐えられますが、チョウザメのような魚はあまり水質の変化に強くはありません。魚の管理にどれくらい時間や気を回せるかにもよりますが、初心者の場合にはできるだけ丈夫で水質の変化に強い魚を選ぶことがオススメです。
成長した際の大きさ
成魚になった際の大きさも魚種を選ぶときには注意しなければなりません。例えばティラピアは1年で30~40㎝程の大きさになり、最大60㎝程に成長することもあります。小さい種類のチョウザメも成長すると1mを超えます。水槽の大きさを踏まえて魚種を選ぶようにしましょう。
繁殖させやすいかどうか
繫殖させやすいかどうかも考慮すべき重要な点です。特に商業農場では販売目的での魚の飼育が多いため自家繫殖できない場合、定期的に稚魚を購入しなければなりません。ティラピアのような繫殖をさせやすい魚を選ぶと、農場で個体を増やすことができるため魚が不足することはありません。
まとめ
趣味のアクアポニックスでは好きな魚を飼育して野菜を育てるのが良いとは思いますが、初心者の方や商業農場では今回紹介してきた要素を踏まえて飼育する魚種を選ぶようにしましょう。アクアポニックスの運用を一度始めると簡単には魚の入れ替えや設備の変更は簡単にできません。アクアポニックスを始める前によく検討しましょう。
駐車場1台分のスペースから始められる”まちかどアクアポニックス”
アクアポニックスを自宅で始めたい、兼業農業を始めたい、新規事業として取り組みたい、教育にアクアポニックス取り入れたい、自給自足にー。
まちかどアクアポニックスは駐車場1台分、わずか10㎡の広さで野菜を1000株、魚を200匹飼育できる省スペース高効率栽培が可能なトータルシステムです。温室、水槽、栽培槽、フィルター、環境モニタリングシステムがオールインワンとなっています。
葉物野菜やハーブ、実をつける野菜など育てられる野菜は無数にあり、多品目の栽培も可能です。
詳しくはこちらからご覧ください↓